ブラジル在住の筆者。移住前の2年ちょっと、会社に通いながら夜間と週末とを使って日本語講師になるための養成講座に通っていました。現在はブラジルで日本語指導の講師として活動しています。
そして、日本語を学ぶ生徒さんからブラジルの習慣や文化、教育など、様々なことをたくさん教えてもらっています。
その中で驚いたことの一つが「学校で俳諧の授業があった」というもの。
そこで今回は「ブラジルでの俳諧・俳句の授業」について調べてみることにしたよ。
日本の「俳諧」を取り入れた授業
冒頭の「学校で俳諧の授業があった」と教えてくれた彼は日系人(日本人の血統を持つ人。またその子孫)ではなく、通っていたのも日系の学校ではないとのこと。
いわゆる "ブラジルの" 学校です。
彼は大きくなってから日本語の勉強を始め、その中で俳諧・俳句の存在を知りました。
実際には "授業でやった俳諧(俳句)" と "日本の俳句" は少し違ったようですが、その要素を取り入れた授業ではあったようです。
そうゆう授業があったこと自体が嬉しいし、ちょっと驚きだよね!
まさにこんな気持ち。
日本の伝統的な文芸といわれる俳句は、いまや世界中で愛され、親しまれています。遠い国で、その地の母国語で、日本で生まれた俳句(ハイク)が詠まれているというのは不思議です。
引用元:JAL Foundation
ちなみに、うちの主人は日系ブラジル人。でも通っていたのは "ブラジルの" 学校です。
そんな主人にも聞いてみましたが、「HAIKU? 何それ?」と…(笑)
説明すると、「"日本の俳句" ではないけど、それっぽいことは勉強したかも〜」と幼い頃の記憶を頑張って思い出してくれました。
ハイクを世界に!(JAL Foundation)
ブラジルの俳句の授業について検索していると、日本のJAL財団(JAL Foundation)という国際活動をしている団体のサイトに辿り着きました。
その団体の活動の一つに俳句があります。
ハイクを通して、子どもたちの感性を養い、日本と世界の子どもたちの相互交流を深めます
引用元:JAL Foundation
ここにはポルトガル語の「Como fazer um Haiku(俳句の作り方)」を載せておきますが、JAL Foundation のサイトには18ヶ国もの言語で俳句の作り方が掲載されています。
画像をクリックすると「Como fazer um Haiku」に飛ぶよ〜
余談ですが、サンパウロの東洋街(日本人街)リベルダージという街に「HAIKAI」という名前の文具屋さんがあります。
筆者はてっきり「徘徊」かと思っていましたが… おそらく「俳諧」からとったネーミングなんでしょうね。
同じことば・同じイントネーションでも、漢字だと意味がすぐにわかりますね。
やっぱり漢字は便利だね。あはは〜
授業での呼び名にしてもお店の名前にしても、ブラジルでは俳句(Haiku)より俳諧(Haikai)の方が知られているのかもしれませんね。
ブラジル人に気付かせてもらった日本語の魅力
冒頭から紹介している彼の言葉を借りると「"日本の俳句" は言葉の意味を隠して表現することができる」のです。
ブラジルにも(ポルトガル語でも)ポエムはあるけど、文法を無視して書くことはできない。
でも、日本の俳句は文法を無視して書くことができる。
全部書かないのに、そこから想像力や感情を働かせて言いたいことを伝えるのがすごい!
日本の俳句はすごいよね〜
と言われ。逆に、それを気づかせてくれたあなたはすごい!と感心してしまいました。
俳句について考えるとき(といっても、小学生以来まともに考えたことはないような気がしますが…)、彼が言うようなことまで深く意識したことはありませんでしたね。
日本語は「高コンテクスト文化」の代表
先ほどの「日本の俳句は言葉の意味を隠して表現することができる」に補足しておくと、それは日本語が高コンテクスト文化だからでしょう。
ハイコンテクストコミュニケーションとも言うね。
だから全てを言葉にしなくても、心に響くような句を書くことができるのでしょう。
高文脈文化のコミュニケーションとは、実際に言葉として表現された内容よりも言葉にされていないのに相手に理解される(理解したと思われる)内容のほうが豊かな伝達方式
引用:Wikipedia
コンテクストには、場所や話し相手、同席者、時間、天気、服装、相手との距離、匂い、記憶、常識、表情、口調……等々、数えきれないほどの要素があり、それらが複雑に組み合わさっていることを考えると、無限といっていいほどの可能性があります。
引用:NEC「日本語コミュニケーション」
まとめ
それにしても、地球の裏側でこのような学習が取り入れられているということに驚きと感心の気持ちでいっぱいです。
良いものは国や文化などの垣根を取り払い、どんどん広がってゆくものですね。
筆者もブラジルにいるからこそ感じること、学べるものをスルーせずに、色んなことを吸収していきたいです。