日本から遠く離れたブラジルへと移住。ブラジル人である主人との会話の中でポルトガル語の「-nho」と「-nha」の使い方について、新たな発見がありました。
どんな風に使うとよいのか。また、どんな風に使うといけないのか。それをここでは紹介していきますね。
サッカー選手「ロナウジーニョ」の本当の名前は?

ブラジルの有名な元サッカー選手、ロナウジーニョ(Ronaldinho)をご存知でしょうか。

サッカーファンじゃなくても知ってるくらい有名な選手だよね!
筆者はポルトガル語を勉強するまで、彼の "本当の" 名前を知りませんでした。
そう、彼の名前は Ronaldo(ロナウド)。
ロナウジーニョ(Ronaldinho)はニックネームで、"ジーニョ" は親しみを込めて呼ぶときに使う接尾語なのだそう。
ちなみに、彼の名前をポルトガル語読みすると Ronaldo(ホナウド)。だから愛称も ホナウジーニョになります。
ポルトガル語:-nho, -nha の使い方 ①

「ロナウジーニョ」のように人の名前に -nho, -nha を付けて呼ぶこともありますし、かわいいものや小さなものを表現するときにも使います。

たとえば、こんな感じ!
日本語 | ポルトガル語 | -nho, -nha 形 |
---|---|---|
かっこいい | Bonito(ボニート) | Binitinho(ボニチーニョ) |
かわいい | Bonita(ボニータ) | Bonitinha(ボニチーニャ) |
コーヒー | Café(カフェ) | Cafezinho(カフェジーニョ)*小さいコーヒー |
お皿 | Prato(プラート) | Pratinho(プラチーニョ)*小さい皿 |
スーパーなどの袋 | Sacola(サコーラ) | Sacolinha(サコリーニャ)*小さい袋 |
日本語の名詞には性の概念はありませんが、ポルトガル語には「男性名詞」と「女性名詞」があります。
男性名詞には -nho を、女性名詞には -nha をつけます。
レストランで実験:"Cafezinho"は本当に通じるのか

Café(コーヒー)に -nho をつけると、Cafezinho(カフェジーニョ)。
「かわいいコーヒー」ではなく「小さいコーヒー」。すなわち「エスプレッソコーヒー」という意味になります。

ブラジルのレストランでは "Café" って言うと基本的にエスプレッソを指すよ。
エスプレッソではないコーヒーは Café americano(カフェ アメリカーノ)。アメリカンコーヒーですね。
日本でいうところのコーヒーはこの Café americano になります。
まぁそう聞いてはいたものの、ずっと疑い続けていました(笑)

本当に Café はエスプレッソなのかな?
現地のレストランで働いていた時「Café ちょーだい!」とオーダーを受けると、必ず確認していました。
「Cafezinho ですよね?」と。

純粋にオーダー間違いするのも嫌だったし、ポルトガル語がわからないからオーダーを間違えた…みたいにも思われたくなかったからね〜
そして筆者の疑問を晴らしてくれるかのように、お客さんの返事は 100%「Sim!(はい)」
Caféは Cafezinhoということが判明しました。(筆者調べ)
むしろ「他の種類もあるの?」なんて聞かれたことも何度かありましたね。
気をつけなければいけない:-nho, -nha の使い方

Bonitinho(ボニチーニョ)や Bonitinha(ボニチーニャ)は、基本的に子供や動物などに対する「かわいい」に使います。
大人の男性や女性には使わないようです。
使わないというより、大人の男性や女性に対して言うと少し「失礼になる」ようなので、使わない方がよいとのこと。
「かっこいい!とまではいかないけど、少しかっこいい…。」
「かわいい!とまではいかないけど、少しかわいい…。」
こんな風に少し微妙なニュアンスに聞こえてしまうんだとか。

要するに「かっこよくない」「かわいくない」ってことだもんね。そりゃ確かに失礼だよね。
大人の男性には「Bonito」や「Lindo」(かっこいい・素敵・イケメン!)」を。
大人の女性には「Bonita」や「Landa(かわいい・美人・べっぴん!)」と言うのがベスト。
私はなんとかの一つ覚えで Bonitinho, Bonitinha を多用していたので(笑)主人から教えてもらえてよかったです。
いくらポルトガル語勉強中の身とは言え、失礼なものは失礼ですからね。
ポルトガル語:-nho, -nha の使い方 ②

とある日。レストランの同僚が言った言葉にハテナがいっぱいに。
(風を浴びるように)両手を広げながら、

Está fresquinho!(エスタ フレスキーニョ)
え。Fresco(フレスコ)が かわいいってどういうこと??
Frescoは「涼しい、冷たい」という意味の単語。
「涼しい」が「小さい」とか「かわいい」とか理解することができず、「どうして Fresquinhoなの?『涼しい』はかわいいの?」と同僚を困らせてしまいました(笑)
この場合はこのような解釈をするようです。
対 象 | 意 味 |
---|---|
対象が「もの」 | 対象物のサイズが「小さい」or「かわいらしい」 |
対象が「もの」じゃない | 対象の程度が「小さい」or「弱い」 |
なので、「涼しい」が「かわいい」というわけではありませんでした(笑)
「少し涼しい」や「少し寒い」という訳ができますが、心地が良いと感じる気候のときによく聞く気がしますね。
まとめ

筆者は -nho や -nha を「ポルトガル語の表現を広げるポジティブな便利アイテム」だと思っていました。
そう、日本語の美化語(お花やお箸の「お」のこと)のように、言葉そのものの印象を良くするものとばかり。
でも使い方によってネガティブな意味が含まれるなんて…。
でもそれと同時に言語に対する興味深さも湧いてきましたね。

だから言語っておもしろい!
終わりなき言語の旅は、まだまーだ続きますっ!